キックボクシングを自分の子供に習わせてみたい、という方は多いのでは無いでしょうか?
一方で「格闘技を子供にやらせるなんて危ないかも知れない」と、不安に思う気持ちも必ずあるはずです。
そこで本記事では、キックボクシングを子供に習わせるのは何歳からがいいのか。
試合に出るのは危険なのか、と言った内容について述べていきたいと思います。
ぜひ参考にしてみて下さい。
サマリー
キックボクシングを子供に習わせるのは危険か?
「キックボクシングを子供に習わせるのが危険かどうか」という問いに対しての答えですが、「危険性はゼロではない」と言うしかありません。
キックボクシングにもあらゆるスポーツと同じように、事故の可能性はあり、それをゼロにする事は難しいからです。
キックボクシングは競技の特性上、サンドバッグを叩いたり、対戦相手を攻撃したりします。
ですので、本質的には危険な競技なのです。
しかし、多くのキックボクシングジムにおいては、その危険性を極限まで排除し、良いところだけを抽出して教えられています。
特に子供にキックボクシングを教える場合、大人に教える以上に神経を尖らせて、安全に配慮して行います。
例えば、学校の柔道で子供が亡くなってしまったり、屋外の部活で熱中症で子供が倒れたというニュースは毎年の様に報道されますが、キックボクシングのスパーリングで子供が亡くなったという話は聞きませんよね。
単純に比べる事は出来ませんが、近年ではキックボクシング業界は安全性に非常に気を使っており、学校の部活よりも安心という見方も出来ます。
それでも、キックボクシングは格闘技なので、危険性をゼロにする事は不可能です。
絶対の安全性を求める場合、キックボクシングはお勧めできません。
ただし、それはどんなスポーツでも言える事ですし、最近のキックボクシングはかなり安全性は高いとも言えます。
キックボクシングを子供に習わせるなら何歳から?
キックボクシングを子供に習わせる(始める)年齢について述べていきます。
競技として上を目指すのであれば、5歳~10歳頃から始めるのが良いでしょう。
多くのキックボクシングジムでは5歳か6歳(小学校1年生)から生徒を受け入れているというのと、子供の運動神経は10歳から12歳にかけて急激に発達する為です。
この時期の運動への取組みが将来に大きく影響するといわれており,立花(2006)は,ゴールデンエイジについて,一生の中でも最も運動神経が発達し,運動能力も急速に向上する時期で主に 10 歳から 12 歳の年代にあたる子どもたちを指すもので,ゴールデンエイジ期に発育・発達に適した運動指導を行えば,どんなスポーツ選手でも作ることは可能であると述べている。
幼少期から始める事で将来選手として上を目指す事が出来ます。
また、仮に途中でやめてしまったとしても、運動神経が発達しやすい時期に格闘技をしていた経験は一生もので、あらゆる競技に応用できるでしょう。
ただし、これはあくまでもスポーツ科学に基づく一般論であり、個人差や本人のやる気・環境次第でいくらでも挽回出来るという事も付け加えておきます。
大人になってから始めてもキックボクシングで強くなる事は十分可能ですし、ましてや10代の子供であれば遅いという事はありません。
参考記事:キックボクシングを始める年齢について!30代40代からでは遅いのか?
ただし、子供は体が未完成ですので、危険な指導や無理なスパーリングをさせるジムに入会させるのはお勧めできません。
いくら早く始めたとしても、非科学的なトレーニングをさせるジムで練習したのでは、子供の体に負担がかかるだけ。
安全で適切なトレーニングをさせるジムというのが重要です。
この章のまとめ
競技として子供にキックボクシングを習わせるなら5歳~10歳から始めさせるのが良い。運動神経が発達しやすい時期だから。ただし、何歳からでも挽回は可能だし、大人から始めても本人次第で選手として大成する人もいるので、神経質になり過ぎる必要もない。10代の子供なら遅いという事はない。
ただし、危険な指導をするジムで早くから始めさせると、子供に負担がかかる。(特に幼少期は体が未完成なので)
子供にキックボクシングを早い段階から習わせるなら、指導の安全性と合理性を重視してジムを選びたい。
キックボクシングの試合に子供を出すのは危険か?
キックボクシングの試合に子供を出す事についても述べておきます。
ルールがあり、レフェリーがいる状態と言っても、試合だと本気で戦う事になりますので、子供がキックボクシングの試合に出るのは確かに一定の危険性はあると言えるでしょう。
しかし、危険な事故を防ぐ為に、普段からキックボクシングを練習している訳ですし、トレーナーやジムの会長の許可が無いと試合には出れません。
また、特に子供の場合は1ラウンドあたりの時間も短く、ラウンド数も少なく、防具もフル装備で安全性は考慮されています。
ゼロとは言えませんが、子供がキックボクシングの試合に出ても危険性はかなり少ないと言えるでしょう。
神経質になり過ぎる事はないですし、神経質な子供(親)だとしたら、そもそも格闘技を始めるべきではありません。
もちろん危険性はゼロには出来ません。
その上で、子供をキックボクシングの試合に出すのであれば、子供の希望をしっかり聞いてあげて、親がしっかり判断するべきです。
キックボクシングで子供が亡くなった事故はある?
子供にキックボクシングを習わせる上で、最悪の可能性についても知っておきたいと思う方も多いでしょう。
キックボクシングにおける子供の死亡事故はあるのでしょうか?
日本国内では聞きませんが、ムエタイの本場タイでは13歳の男の子が亡くなった事故がありました。
アヌチャー・ターサコー選手(13)が死亡したのは11月10日。同県であった試合の第3ラウンドで頭に連打を浴び、ノックアウトされた。対戦相手はほぼ同年代の選手で、大人顔負けの壮絶な試合だったという。ヘッドギアは着けておらず、死因は脳出血だった。
この事故はヘッドギアを着けていない試合ですし、日本とタイでは安全に関する認識も違うでしょうから、単純に日本の子供に当てはめる事は出来ないでしょう。
ただし、「こういう事もあるんだ」という認識を親やトレーナーもしっかり持って、子供に練習させるのが大事です。
この記事のまとめ。
子供にキックボクシングを習わせる年齢や危険性などについて述べてきました。
子供にキックボクシングを習わせるなら、競技として上を目指すなら5~10歳までには始めるのが良いでしょう。
しかし、安全性にしっかり配慮した合理的なトレーニングを行っているジムを選ぶのが重要です。
(もっと遅くにキックボクシングを始めたら、選手として強くなれないという事ではありません)
危険性はゼロではありませんが、最近のキックボクシングは安全性に非常に気を使っており、滅多なことでは事故は起きません。
キックボクシングの試合に子供を出すかどうかについては、子供の希望と親の判断。
そしてトレーナーの意見なども参考にして決めるのが良いでしょう。
最期に「格闘技ドクター」として有名な二重作拓也先生の言葉を引用しておきます。
スポーツの指導者に理解していただきたいのは、「子どもは大人のミニチュアではない」ということです。これは小児科領域の格言として知られる言葉であり、子どもの本質をそのまま表しています。例えば、人間の全身の骨が完成するのは20歳前後。子どもは骨が未完成な上、成長段階にあり物理的にも柔らかいため、衝撃に弱く、脳や心臓、内臓といった命に直結する部分を守る力も弱いのです。
キックボクシングは素晴らしい競技です。
精神的・肉体的強さを得る事が出来ますし、かけがえのない仲間や思い出も作れます。
「子供に習わせたい」「将来は有名な選手になって欲しい」
そんな思いを抱くのは自然な事でしょう。
だからこそ、キックボクシングの素晴らしさと危険性を、親もトレーナーもしっかりと認識した上で、子供に習わせるべきです。
危険性がないスポーツなどこの世に存在しません。
格闘技だけが危険なのではない。
格闘技の性質についてしっかり理解した上で、子供が楽しめる環境を作っていくのが大事だと言えるでしょう。